高雄での滞在先は華園大飯店（ホテル・ホリディ・ガーデン）。金融官公庁街に位置し、周辺に見るべきものは無し。
すぐ近くに煌々とライトで照らされた野球場を発見。高雄では台湾のプロ野球チーム La Newベアーズが本拠地を置いているので、夕食後にでも来てみようか……。
夕食のために車に乗って、紅毛港海鮮餐庁という有名海鮮料理店へ移動。テーブルに着いてビールを注文し、料理が出て来るのを待っていると、店員達が急に右往左往し始めた。旅程表に載っていなかったので私達には分からなかったが、余さんが案内する店を間違えていたのだった。
そこへ、注文したビールが届いた。店員に「ストップ！」と声を掛けるも、時遅し。何のことですか～何言ってるか分かりません～という表情で微笑み、何もそんなに慌てなくてもという勢いで、栓を抜いてくれちゃったのであった。余さんは「すみませんが……飲んで下さい」と恐縮しきりだし、「ビ、ビールは好きですから問題無いですよっ！」としか言えなかったけれど――あの店員、絶対に確信犯だと思う。
そんなわけで駆け付け三杯宜しく、通常より高めの120元の瓶ビールを空ける羽目になった私達は結局、滞在先ホテルである華園大飯店のレストランに落ち着いた。日本人のツアーでは大抵が有名レストランの方を予定しており、私達のコース＝格安プランで案内するのは初めてだったらしい。食べ損ねた料理の内容との差を推測し、そしてビールで移動時間中に胃袋が膨れ上がったのか、食が進まなかった。
食事後は寿山公園の観光へ。海抜365メートルの山の中腹に英霊を祀った忠烈祠があり、展望スポットとしても人気。
夜空で飛行機が上昇中。
レストランの事件で小さくなったままの余さんは、元々は無口な人なのだろうが良く喋り、それまで以上にサービス精神を発揮すべく努めていた。ちょっと気の毒だけれど、その変貌ぶりが好意的な意味で面白かった。
ホテルに戻った後、球場がまだ明るかったので観に行くつもりが、ビール腹が辛くて止めた。しかし、プロ野球の本拠地は郊外にある澄清湖球場と後に判明。無駄足にならず、結果的に良かったのか？
（この年のLa Newベアーズは台湾シリーズで優勝、アジア・シリーズでは北海道日本ハムファイターズとも戦って準優勝という好成績を収めた。2011年よりチーム名がLamigoモンキーズとなり、本拠地も変更）