朝に家族を会社や幼稚園に送り出した友人と私が目指したのはマダム・タッソー蝋人形館。私はイギリス渡航の度に訪れており、これで三度目。友人は在住暦二年で初めて。
入口も過去二度とは変わっていたが、入場料もかなり高くなっていた。4.50ポンド、7.95ポンドと来て、今回は19.90ポンド(約3,800円)もした。個人と団体、平日と休日に時間帯区分など、チケットの種類も細かくなっていて戸惑った。一方でパンフレットの値段は、以前と然程変わりなく4ポンド前後。但し、今回のものは館内の案内というより、まるでファッション誌のイメージ写真。人形の写真も少なければ載っていても名前が記されていないので、海外の有名人に疎い私はパンフレットでおさらいするつもりだったのが全く役に立たなかった。
人気テレビ番組のセットらしい。
グリム童話より「眠り姫」。苦しそうに胸が上下している。
超人ハルク。もはや人間ではない。
犯罪や処刑場面を再現した「恐怖の部屋」は、マダム・タッソー蝋人形館版お化け屋敷。天井からは串刺しになった頭や、首を吊った人形、ギロチンが時折ガチャンと音を立てて降りてくる。
そこから更に特別な部屋があった。お化け屋敷の中にあるお化け屋敷のようなもので、真っ暗で迷路のような通路を進むと、お化けが脅かしに来る。結構な迫力!
しかし――恐怖の部屋に入った時から周りもろくに見れず、耳まで塞いでいた友人はずっと「ぎゃーーーーー」と叫んでいた。尋常ではない怖がり振りの友人を、お化け達も狙い撃ち。ちょっと寂しいというか幸いというか、私に仕掛けて来るお化けが一人も居ない。
私の腕にしがみついている友人を引き摺るようにして、普通の倍以上のスピードでその部屋を抜けた。出てからも友人はまだ「怖い怖いー!」と繰り返し悲鳴を上げていた。周囲の人達も余程恐ろしい部屋だと思ったことだろう……
ロンドンタクシー型の乗り物で、歴史を巡る部屋。友人に安息の時が訪れた。
有名スター達の人形については、別ページにて。