学校の教室。駒野は部活や公式戦で取って来たデータを見て、千早の一字決まりが20枚くらいあることに気付いたと言う。
「しら しの ゆら ゆう かく かさ ちは もろ もも ひさ きり うか うら は頭の一字で取ってんじゃないかなあ 自分でもわかるだろ?」
千早は半信半疑。
「べつに 綾瀬や周防名人だけじゃない ”感じ”がいいって言われる人は 少なからずそういう札を持ってるんだ 音の一歩先がわかる札が うらやましいよ」
駒野の前には、データが詰まったノートの山。千早は駒野に飴玉を無理矢理押し付ける。
「そ そのうちもっと マシなものを返すから……」
千早は廊下で、駒野に言われた歌を声に出してみる。その様子を見ていた大江が、専任読手になりたい、と千早に告白。ただ、専任読手はA級以上という条件を初めて知る。
一生かかる 一生かかっても無理 あんなに努力してる部長でさえ なかなかA級になれないのに!! 無理 無理
部活での練習試合。太一が珍しく素振りをしている姿に、皆が見入る。太一は先日新と電話した時に、ヒントを貰っていた。
同じくらいの”感じ”を手にいれるのは難しくても 相手より速く取る方法ならいくらでもある
太一は千早に言ってみる。
「千早 今日の試合 おれが勝ったら おまえんちのダディベアをすべて燃やす」
それだけで半泣きの千早は、恐らく集中力10パーセント減。なるほど、須藤的ドSはこういうものか、と太一は学ぶ。
新 おまえの世界に「天才」はいないんだな
読手は大江の番。札読みのリズムに気を付けるが、かなり難しい。
でも いま どんなに苦労してても 部長は絶対いつかA級になる 憧れを消すことなんかない
部活動顧問の間では、部室問題が持ち上がっていた。人数が多い吹奏楽部のため、来年度にかるた部に新入部員が五人入らないと、今の環境の良い部室を明け渡さなくてはならないことに。
四月。入学早々彼氏に振られ、泣きながら廊下を歩いて周囲からドン引きされている女生徒が。
早く次の彼氏作る!! 学校で一番かっこいい人!!
memo
教室で机くんに一字決まり考察を聞く千早。これでは確かに、机くんから美人という認識も遠ざかるというような変顔。部活練習中に読まれた札は「たちわかれ」「なにわがた」「あさじうの」。
千早の一字決まりは 「しらつゆに」 「しのぶれど」 「ゆらのとを」 「ゆうされば」 「かくとだに」 「かささぎの」 「ちはやぶる」 「うかりける」 「うらみわび」 「きりぎりす」 「もろともに」 「ももしきや」 「ひさかたの」以上の13枚と、”む・す・め・ふ・さ・ほ・せ”の7枚で、机くんの言う計20枚となる。
周防は28枚。前話では「おとにきく」を「お」で取りに行っているような描写があるので、「お」の札が加わるのかも。「お」は7枚あり、「おくやまに」「おぐらやま」「おおことの」「おおえやま」「おとにきく」「おもいわび」「おおけなく」。但し、そのうち「おお」が3枚あるので、除外すると4枚。他は何だろう。