六月、全国高等学校かるた選手権大会東京都予選。初めて袴を身に着けて感動している花野に、大江も嬉しい気持ち。筑波は練習でも勝てず試合に出れないのに、応援に訪れた弟達に「勝ちまくる」と大見得を切る。
会場で遭遇した北央のヒョロが、西田に言う。
「肉まんくん きみも人がいいよねえ 実力的には勝ってるのに まだ真島に部長させてるなんて この万年B級のまつげくんに!!」
太一は皆に内緒で広島や京都の大会にも出場するが、まだB級というのが現状。ヒョロも同じだ。
開会式で前年優勝校としてトロフィーを返却する千早。
みんなで戦って 初めてもらったトロフィー 必死だった 前しか見てなかった もう一度この手へ そして全国へ 次の夢は日本一
駒野が考えた初戦のオーダーは二年生揃い。筑波がこっそり駒野から筑波に書き換える。見咎めた西田に口応えする筑波の額を、太一がペシンと叩いて静かに言い放つ。
「頭冷やせ できないなら 帰れ」
駒野はオーダーを再考。一回戦は自分に代わって花野、二回戦で大江の代わりに筑波を入れることにした。駒野は筑波の表情や大きな声が武器になると励ます。但し、他の三人は全試合出ずっぱり。
「真島 肉まんくん 綾瀬 頼んだよ」
一回戦から迫力ある取りで圧倒する千早。筑波は駒野に訊ねる。
「あ あの…… なんで おれにチャンスくれたんですか? 失礼なことたくさん言ったのに……」
駒野は前年に自分が試合を放棄して帰ろうとしたことが頭にあった。
「おれもあるから…… チャンスもらったことがあるから 焦らなくても筑波くんはすぐ強くなる 大丈夫 熱意も才能もある 大丈夫だ」
花野は対戦相手の男子に札の位置を教えられたり、わざと手に触られたり。千早は男子相手でも手になど触らせない、女子だからと舐められもせず、25枚パーフェクトで勝利。花野も集中し、千早に以前言われた通り、速く取りたくなって来る。
シャクだけど その通りみたい
瑞沢かるた部、まずは秀龍館に一勝。
memo
月日は流れ、あっという間に東京都予選。まずは一回戦。菫の対戦相手、女の子に触れたい一心の怪しい動きに笑ってしまった。読まれているのは「たまのおよ」「はなのいろは」。