一回戦負けして自宅に戻っていた田丸兄は、ネット情報で妹が準決勝で戦っていることを知る。所用で行けなかった両親と共に、再び会場へ向かった。「わがいおは」を取って運命戦に持ち込み、笑顔で軽くガッツポーズする田丸。兄には妹が別人に見えた。
翠はおれとよく似てる 他人のことはぜったいほめないのに 自分はほめられたい 性格悪い 自意識過剰 だいたい同じだからわかる
大江も田丸を見ていた。
千早ちゃんみたいだ
田丸は畳に座る前に一呼吸。
これまではなんか自分と戦ってるみたいだったなぁ 目立ちたくて ほめられたくて だれにも注目されなくて ほめられないのは変わんないけど いまはもうさみしくないよ ああ私 さみしかったんだ
同じく一呼吸入れるため立ち上がった千早と、目が合った。
さみしくなくなって やっと 相手と戦える
千早は深く息をしながら考える。
泣きそうだ わからない 未来はちっともわからない わからないけど 田丸さんは未来だよね? わからないけどわかるよ
そして、札が読まれた。「はるすぎて」で、田丸が自陣を抑え、理音も自陣の札に触れていた。理音はお手つき。それぞれ一枚差で、千早と田丸が勝利し、決勝へ進むことになった。
桜沢先生は理音ではなく田丸の試合を見ていた。終了後、田丸に声を掛けて褒める。
「あなたが次の瑞沢のエースね? 今度 富士崎の合宿に来ないかしら?」
突然のことにぽーっとしている田丸を、瑞沢の一年生部員が田丸を捕まえて褒める。
「私たち1年は 田丸さん応援するから 本気で応援するからがんばってね」
田丸は涙を浮かべる。
なんだろう なんか なんだか 生まれ直したみたいな
しかし、顔を上げると、次の対戦相手の千早。
そして また 死ぬんだ 何度も
畳に座っている太一は緊張。
須藤さんに勝てた あの須藤さんに勝てた 教わってきたものが通用した 試しにきただけだ もういいんだ ――譲るんだ
目の前の原田が語る。
「…… ずっと考えてたよ まつげくんがなにをしたいのか なぜ戻ってきてるのか かるたに復讐してるようだとも思ったが それだったらあれだよな 復讐したいとすれば 私にだよな」
原田が前に言った「青春全部懸けたって強くなれない? 懸けてから言いなさい」を思い浮べ、太一の表情が揺れる。
「ちがいます おれはもう 試合は譲…」
原田が太一の口を手で封じ、言葉を遮った。手を離すと、太一が再び口を開いた。
「新と… 千早のいるところに 行きたい 行きたい…」
原田は「では戦おう」と厳しい表情。
私の前に立ちはだかるのか こんな美しい壁が 手かげんしないよ 金木犀の香りの 私の好敵手
memo
千早と理音の試合終了。意味ありげな畳に残しつつ、最後は空札の「はるすぎて」で理音がお手付き。ばら撒かれた餌は疑似餌だったのか、ってな程に何も起こらずじまいだ。各キャラの心情を知りたかったのに、理音は泣いている遠景、須藤も背中のみ、太一の表情も終始ほぼ描かれていないし、田丸の対戦相手陣営は悔し紛れでも睨んで来るのはどうかと思うし、桜沢先生と対面している田丸を引き剥がす一年生達は失礼極まりなく、太一は一歩間違えばマナー違反な香害テロ、第188首で「新のところへは自分で行くよ」と言っていたのが「譲るんだ」になるわ、千早の「わからないけどわかるよ」は相変わらず曖昧でさっぱり訳分からんwww
太一母の香水、ディオールのはメンズ向きらしいので、グッチのフローラ・バイ・グッチあたりでいかがでしょう。