新は村尾との会話で、友達はかるた絡みくらいと指摘され、由宇もいると反論するが、村尾は「兄妹みたいなもんやろ」と否定。新が他には、と考えているところで、村尾にメールが届く。
「 新はラッキーやわ 神様がそれでいいって言ってくれとる気がする」
村尾が見せた画面には、東日本代表は太一と千早、との報。新は小学生の時に千早が言ったことを思い返す。
あたしたちにはかるたがあるから また会えるんじゃないの?
太一は学校帰りに母と袴を買いに行く予定が、急遽一人で行く羽目になった。太一が西田と駒野を捕まえると、彼等は太一を大江の元へ連れて行く。「着物作ってもらうとか初めてで……」と赤面する太一に、キュンとする三人。
これは おそらく 真島太一が人を頼る きわめて稀なケース
大江は千早も一緒にと誘うが、千早には先約があった。背中を向けて去る千早に、駒野が別件で声を掛けたところ、千早の顔が赤い。
「真島のことは任せとけって 綾瀬もがんばれよ」
四人を見送る千早――
「呉服の大江」を訪れた太一に、大江母は大歓喜。黒紋付あたりか、と太一母は注文していたようだが。
「えっ… え いや あの よくわかんないんですけど いままで試合でずっと貸してくださってたみたいな ああいう袴がいいんです 場に合うとか そういうのわかんないんですが ダ ダメでしょうか…」
赤面しつつ要望を述べる太一に、大江母の表情が締まる。
「勝つためのユニフォームとして 真島太一様のために 仕立てさせていただきます」
生地、長襦袢の有無、武者袴、と決まって一段落。太一は西田と駒野に足袋を買い、勝利した場合の大盤係を頼む。
「とりあえず綿谷新がラスボスなんだと思ってた ――けど 周防さん 倒しにいくの!?」
真顔で静かに「うん」と返事する太一。
その頃、千早は猪熊宅を訪ねていた。強くなりたいと言う千早に、猪熊が応える。
「だったら私にくらいは勝てないと」
対戦の準備をする前に電話を確認すると、駒野から添付ファイル付きのメールが届いていた。七人の専任読手の音声を、録画から探して上の句だけ抽出したものらしい。そのうちの九頭竜の読みが独特で、猪熊と共に衝撃を受ける。
行くんだ その先へ
memo
太一、袴を買いに行くの巻。大江母は流石プロフェッショナルだし、はっちゃけつつもお母さん然としている。第19巻第103首の吉野会大会決勝戦前に着物を直して貰ったのを、太一が回想しているのが嬉しいね。
序盤と終盤で二度も「かるたがあるからまた会える」が登場するが、キーワードは「友達」か。太一はかつてなく赤面するわ、名人に勝つ宣言をしたりと、肉机達に以前より一層気を許している。第15巻第82首の机プロファイリングではプライドが高いとされていたのが、高校選手権決勝での「三勝するぞ」宣言を経て、振られ報告あたりから距離感が大きく変化したような。
一方の新は友達として真っ先に同性のではなく由宇を挙げる有様で、村尾は兄妹のようなものだと否定。由宇に対する新の認識は、近いうちに問題に上がるだろう。
千早も太一も東西戦は眼中に無いのが面白い。太一の独白「新のところへは自分で行くよ」はどうしたw 勿論、東西戦は通過点でしかないし、新を変に意識しないよう努めているだけかもだが。
九頭竜さんが詠む「おとにきく」と「をぐらやま」とでは、出だし音に違いがあるらしい。