エイト達はついにラプソーンを倒す。レティスに乗り、大空を舞う。
ヤンガス 「や……やったぁーっ!! やったでがす!! やったでがす!!」
ゼシカ 「ふう……。これでやっと ポルクとマルクに報告できるわ。あと サーベルト兄さんにもちゃんと報告しなきゃ……。私 自分の信じた道を進んで ここまで来たのって。」
ククール 「……。やれやれ。我ながら とんでもないところまでつきあわされたもんだな。」
表情は人それぞれ。ククールは髪をかき上げ、本当にやれやれといった感じで手を広げる。
ヤンガス 「これできっと 馬姫さまやおっさんも元の姿にもどれるでがすね! よろこぶ顔が目に浮かぶでげすよ! そういや おっさんはこんなとき いっつも急にどこからともなく現れるでがすが……さすがのおっさんも ここまでは来られないようでがす! わはははははは!」
エイトも、そして皆も笑って応える。
レティス ――あなたたちの仲間は 私のチカラで故郷の地へと送り届けてあります。ヤンガス ゼシカ ククール そしてエイト。あなたたちの強さと 何が起きてもあきらめない心。しっかりとこの瞳に刻みつけました。かつての七人の賢者のときもそうでした。あなたたち人間には いつもおどろかされます。さあ 帰りましょう。あなたたちの仲間が首を長くして 帰りを待っています。――
レティスはトロデーン城を目指し、一行を中庭で下ろす。
レティス ――さあ お行きなさい。大切な仲間のもとへ。――
エイト達は駆け出す。しかし、出迎えたトロデ王は魔物姿のまま。後ろにいるミーティア姫もまた、馬の姿。
トロデ王 「おおっ お前たち!! よくぞ戻った! お前たちの勇姿は わしも見ておったぞ! さすがは我が家臣! いや まったくもって立派じゃった!」
ヤンガス 「アッシはおっさんの家臣になった覚えはないでがすがね。」
ゼシカ 「あ 私もよ。」
ククール 「オレもだな。」
トロデ王 「……むむ? わはははは! まあ そんなことはよいではないか! とにかく みんなえらかったぞ!」
レティスが飛び立とうと、羽ばたき始める。
トロデ王 「お……おお……神鳥よ。もう行ってしまうのか?」
レティス ――この世界は もう心配ありません。私はまた新しい世界へと旅立ちます。――
トロデ王 「……そうか。そなたにも世話になったのう……っと そうじゃ! 大切な話が残っておったわい! わしとミーティアは いったいいつになったら 元の姿に戻れるんじゃろうか!」
レティス ――……。……暗黒神の呪力は もうほとんど消えかかっています。まもなく 自然と元の姿に戻るでしょう。――
トロデ王 「おおっ そうか!! それを聞いて安心したぞ!! では どこに行くのか知らんが とにかく気をつけて行かれよ! ……と 神と呼ばれるそなたの世話を焼くのもおかしなもんじゃがな。」
レティス ――私は神ではありません。レティスという名前も あなたたち人間がそう名づけただけのものです。私が生まれた世界では ちがう名で呼ばれていました。そう あの世界では たしか……ラーミアと。それでは行きます。さようなら 勇敢な人間たち。あなたたちに出会えて よかった。――
レティスが飛び立つ。エイトが身につけている袋から光の玉……神鳥のたましいがこぼれ、少し浮遊した後、レティスの後を追って、空に消えて行く。
トロデ王 「……行ってしもうたか。」
そこでトロデ王の身体が光り始める。
ヤンガス 「……お……おっさんが! おっさんが光ってるでがす!」
トロデ王 「む? ばか者めが。わしならいつだって ギンギラギンに光っておるわい。」
ヤンガス 「……そうじゃねえ! 自分の身体をよく見てみろって!」
トロデ王 「……む?」
トロデ王が変身し始める。
トロデ王 「おお……。こ……これはっ……!!」
全身を見回す。
トロデ王 「も……戻った……?」
更に、手鏡を取り出して自分の顔を見て、飛び跳ねて喜ぶ。
トロデ王 「ぬおおおーっ!! 戻った!! 元の姿に戻ったわい!!」
ヤンガス 「なんでえ……。魔物のときの姿と大して変わらねえじゃねえか。」
くすくす笑うヤンガス。
トロデ王 「な……なんじゃとっ! お……お前 さてはわしの本当の姿のかっこよさにビビリよったな!?」
火花を散らして睨み合うトロデ王とヤンガス。
トロデ王がはっとしたように言う。
トロデ王 「そ……そうじゃっ! アホに構ってる場合ではなかった! ひ……姫はっ!? わしのかわいいミーティア……。」
周囲を見回し、皆が見ている方向へ駆け寄る。そこには、人間の姿に戻ったミーティア姫が。
ミーティア 「みんな……。」
トロデ王 「お……おお……。ミーティア……ミーティアや……。」
二人はは駆け寄って抱き合う。
トロデ王 「よかった! よかった! ついに呪いが解けたんじゃっ!! これでもう 何もかも元通りじゃ!」
ミーティア 「お父様……。」
見守るエイト達。ゼシカは涙を拭う。やがて彼等の周り、それから城が光り始める。
ゼシカ 「ね……ねえっ!! あれ見て!!」
茨で覆われていた城の外観が、元の美しい城に戻って行く。
トロデ王 「おお……。城が……。城が元の姿に……。」
城の中から兵士、メイド……たくさんの人々が駆け出て来る。
トロデ王 「たった今より トロデーン城は復活じゃ! 皆の者! 宴じゃ! 宴の準備じゃ!!」
宴が始まり、トロデ王の指示で中庭にたくさんの料理が運ばれる。
ワインを飲むミーティア姫。頬が赤い。
元の姿に戻った同僚兵士と話すエイト。トーポにチーズを与えている。
大きな肉の塊に食らいつくヤンガス。次々と平らげ、料理を運んで来る側が追いつかない様子。
ゼシカは子供達に囲まれ、魔法……メラを披露している。
ワイン片手に、女の子を口説いているククール。その後方から視線を飛ばすゼシカ。メラを掲げているが……? 子供達もびっくりしている。
思い思いに楽しんでいる様子。皆で祝杯をあげ、宴のシーンが終わる。