千早の体調は悪化するばかりで、まともにかるたを取れない状態になっていた。ついに倒れ、太一が宣言。
「綾瀬 棄権します」
太一が千早を抱えて部屋を出ようとした時、新が声を掛けて来た。太一は新に、千早を預ける。
「新 頼む 4人でも勝ってくるから」
太一は試合に戻って行く。
新は流されるまま、宮内先生や大江母と共に千早を控室に運び、大人達が病院や車の手配をしに行ってしまったので、千早の元に一人残される。やがて千早が新に気付いて起き上がる。
「千早 寝とかなあかん 試合は棄権したんや」
千早は呆然とした後、自分が倒れて太一に支えられたことを思い出す。
「千早 あかんて じっとせな 行ったってあかん 試合には戻れんのや」
試合に行こうと足掻く千早を、新が羽交い絞めにして止める。
「イヤだぁっ がんばってきたのに かるた みんなで…っ う… ああ うああ あああ ああああ」
千早は泣き疲れたのか、新の膝枕で寝てしまった。
「千早…… まっすぐなままなんやな おれは…… ずっと考えてる かるたのこと…… かるたと じいちゃんのこと…… 自分のこと……」
千早は車に乗せられ、病院へ向かった。一緒に見送った運営側の吉岡先生が、新に気付く。新が参加者だと思い込んでいる吉岡は嬉しそう。
「心配してたんだよ 去年からどこの大会も出てないから でもこの大会には出てるんだな! やっぱりな! 福井の代表か!? そりゃー楽しみだ!! 綿谷先生にまた会える きみのかるたは 綿谷先生そっくりだから」
吉岡は言うだけ言って去って行くが、新は「綿谷先生にまた会える」という言葉に、涙を流す。
じいちゃん じいちゃん おれ かるたが好きや かるたが好きや
memo
新の回想の最中にも、全国大会の二戦目まで進んでいる。千早が倒れた時の札は「ひともおし」。棄権を宣言して千早を運ぶ太一だが、新の登場で美味しいところを持って行かれた模様。ただ、肝心の千早、太一に支えられたことは覚えていても、その後で新に真正面だっこやお姫様だっこ、膝枕して貰ったことは記憶に無さそう。
第4巻終了。表紙袖で紹介されている「めぐりあいて」の歌は、この巻では登場しない。後の第6巻第33首、この巻の表紙に描かれた新の場面で大きく扱われている。巻末四コマ漫画のネタは、綾瀬姉妹と西田姉弟、チームTシャツ完成、女子ここだけの話。