部員は東京近郊の大会に出て、個々のレベルアップを計画。話している最中、太一に彼女から電話が掛かって来て、「わかった、別れよう」と交際があっさり終了。
頭がいっぱいなんだ 新…… 新は西日本予選に出るんだろうか 間に合わせたい 10月までにA級になって東日本予選に出たい
夏休みに走り込みをしたのに、太一や西田に比べ、駒野は筋肉量に変化がない。大江も同じだが、彼女なりにコンパクトな取りを研究していた。かるた部は運動部のようでもあるが、やはり文化部。
「身体一つで男女一緒に戦えるのは 文化だからです」
大江の言葉に、駒野は確信する。
『かるたなんて』って言って 通り過ぎないでよかった 変わっていけるきっと 身体だけじゃなくて 心だけじゃなくて
学校帰りの電車で、千早は素振り。太一が手を叩いて鳴らすと、ぶんと手を振って反射神経を磨く練習。太一は千早を週末の金沢での大会に誘う。旅費が掛かるので、千早はとても行けない。
「いいなあ 金沢かあ…… 福井近いね」
その呟きを聞き、太一は微妙な表情。なのに、いつしか千早が眠りこけ、太一の肩に頭を預けて来る。太一が素振りの練習の如くパンと手を叩いて千早を起こしたが。
ずるくていやだ 自分が 一歩でも二歩でも出し抜いてでも 人より早く強くなりたいと思ったり 千早と二人でどっか行きたいと思ったり
そして金沢で遭遇する、太一と西田。
ずるいやつがもう一人!!
千早は白波会で練習。得意札だけならば、若宮と張るくらい速く取れるようになった。
夢に見る あの速さ あの鋭さに 追いつきたい ”感じ”の良さなら負けない
しかし、お手付きは減らない。対戦した坪口に言われてしまう。
「いくら速くても 千早ちゃんは怖くないよ」
原田先生にも言われてしまう。
「千早ちゃん 速く取るのをやめなさい」
memo
個々がレベルアップを図る秋。冒頭の体育祭リレーでバトンとして使われているのは「ちは」札。太一に彼女から別れの電話。高校生編初めに登場したきりの彼女の存在を、私もすっかり忘れてたけど、太一本人も忘れていそうw
第5巻終了。表紙に描かれた紫陽花の花言葉は「移り気」「冷淡」「辛抱強さ」「冷酷」「無情」「高慢」。袖の歌は第28首で触れられた「すみのえの」。巻末四コマ漫画は、チームTシャツ三話。かるた部、千歳デザイン、机デザインで作る西田姉。