B級会場では、太一とヒョロの戦い。太一が鮮やかに札を払う。A級では、新と若宮が格の違いを見せつける。
ロビーで眠りこけていた千早が起きたところで、A級決勝を戦う若宮と新が話し始める。
「なんや 残るのはやっぱり私と新やない 団体戦の皆さんはお疲れなんやろうなあ いくつも勝ちを拾わせてもろて ほんまありがたい話やわ あとひとつ拾わせてもらいたいもんやなぁ」
それに対して新がフッと笑ったことに、千早は驚く。
な なんで…… 新 なんで!? クイーンと当たるのに なんであんな顔ができるの!? なんで!?
決勝戦を見たいと腰を上げる千早の元に、西田と大江が皆の結果を知らせに来る。大江はC級準決勝敗退。駒野がC級決勝進出。太一もB級決勝戦。A級のみが別会場。西田はA級決勝戦を観戦するが、千早にも見るよう言う。
「だって あいつ勝つよ 応援なんかなくたって絶対勝つよ 机くんはともかく 今日の真島は全然ちがう 応援なんかいらねぇ なにより綾瀬に 『クイーン戦を考えて練習しろ』って言い続けたのは あいつだ 来るなって言うよ」
北央の選手は全員敗退。ヒョロは太一に、18枚もの差で負けたのだった。
真島…… 初めて見た 全然ちがった 気負わない真島……
B級決勝戦の太一の相手は、富士崎の山城理音。太一はとても落ち着いた様子。
おれ なんでここにいるんだろう 同じ級のやつに5回連続で勝つことが なんでいままでできなかったんだろう
そこに、千早と大江が観戦に現れ、太一驚愕。
な…… なにやってんだ!? おまえ A級の決勝は絶対 新とクイーンだろ!? 見ないとかいう選択ありえねえだろ!? 二人ともおまえのいちばん大事な――
青筋立てて内心激怒の太一だが、千早は前に言っていた。
”私が いまいちばん大事なのは 太一がA級になること”
宮内先生、花野、千早、大江が手を取り、観客席に陣取っている。
ち…… 千早のことはいっつもわからん……
太一の息が荒くなる。
あいつ…… すっごいバカだ 一分一秒でも早く勝つ 大差で勝って 千早に 新とクイーンの試合を見せる
ヒョロ復活。
ま 真島が 気負ったあ――!!
memo
各階級の試合が進み、そろそろ決勝戦。詩暢と新のやり取りは楽しい。いや、違うか。詩暢の「いけず」が楽しいのか。そんな二人を見守る千早は余裕を見せる新に驚くのみで、普通の女の子にありがちな嫉妬する様子は見られない。試合描写が少ないので、登場した札は「たかさごの」と「おおえやま」のみ。
第16巻終了。パンジーの花言葉は「もの思い」「私を思って」。袖の歌は第87首より「きみがため・お」。巻末四コマ漫画は、おおつ光ルくん、筑波兄弟とフォトメール、かなちゃんと母、アニメ千歳の演技力。