第172首 自分一人では越えられん壁

ちはやふる ちはやふる_高3 漫画
漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録。あらすじの記述あり。ネタばれあり注意。

新は若宮に「うか」札を送る。「うら」札と渡り手で取る作戦だ。若宮は警戒するが、新が狙い通りに「うら」を取った。

「うか」「うら」を持たされたら 決まり字前に飛び出さなあかん そうなったら詩暢ちゃんはどっちの札に行く? なんとなく相模(うらみわび)の方や そっちを先に潰す

若宮は「うか」は必ず取ろうと燃えているが、村尾は自分ならば捨てる考え。新に以前、渡り手で狙った札を片方取った後に何故もう片方も取れるのか、と訊いた。新はこう答えた。

なんでかわからんけど 片方になった瞬間 決まり字「う」になった瞬間 強く光る まったく新しい別の札が現れたようなイメージ

そして、新が「うか」を超加速で取った。若宮は着物の袖で札が乱れて苛々しながらも、次の一字決まり「す」を敵陣から抜く。若宮が札を拾いに行く間にも、新は滉に視線を向けており、また苛々。桜沢先生は分析。

捨て札を基本的に作らないクイーンは 取られたときのダメージもモロに受ける

村尾は見守っている。

新は違うんや ‘‘君が取る番や‘‘っていうときを作る

自分、君、自分――で新が「せをはやみ」を「せ」の半音で敵陣から払う。伊勢先生は若宮を見詰める。

全部取ろうと思ったらかるたは負ける 相手のあることなんや "自分の番"をいかに増やすか

新がチームを作ろうとしたことについて、管野先生は再度考えていた。

綿谷… おまえは強いのに 努力も才能も持って こんなに強いのに いつか当たると思ったんやろか 自分一人では越えられん壁に

B級戦では駒野が1対3で王手を掛けていた。

かなちゃん がんばってるかな 絶対がんばってるな 勝って言うんだ かなちゃんに 必ず

駒野が自陣の「たごのうらに」を払う。しかし、読まれたのは「たきのおとは」で、ヒョロが取った。まさかのダブで、2対1に引っ繰り返される。その後読まれた「たご」をヒョロが敵陣から取り、駒野は敗戦。


新と若宮の試合は運命戦となった。新の陣に「めぐりあいて」、若宮の陣には「はなのいろは」。若宮は札を見詰める。

中盤までの差が…… きっちり追いつかれた べつにいい 勝てばいい 強いのはうちや うちのところへきて

しかし、敵陣の「紫式部」だけではなく、自陣の「小野小町」までもが、新の方を向いているように見え、若宮は蒼白。

うちには チームもない 味方もおらん 唯一の友達も 敵や 最悪の

最後に読まれたのは新の陣にある「めぐりあいて」だった。

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memo

個人戦決着。千早は新に勝ち、新は詩暢に勝ち、詩暢は千早に勝つ、という三竦み。机くんはかなちゃんが好きな「たご」で優勝を決める筈が、結局それを自陣から取られて負けちゃった。特定の札への拘りは凶ってことだ。ところで、最後の札の配置は作画ミスかな。

前日から気力が低下していた新が覚醒して勝ったわけだが、第32巻第166首で後輩くんが「最後の運命戦で勝つ」と予言していたよ。登場したのは「みちのくの」「よのなかよ」「うらみわび」、読みの描写はないが新が超加速で取った「うかりける」、「すみのえの」「せをはやみ」「いまこんと」「たきのおとは」「たごのうらに」で、運命戦の札は幼友達を詠う「めぐりあいて」。詩暢の手元に残ったのは、若い頃が花と嘆く「はなのいろは」。

途中、ここは「うか」を描く流れだろうと思ったところでフォーカスされていた札が、祈ってもかいのない嘆きの「うかりける」ではなく、不本意な恋の行方を嘆く「うらみわび」。新が微妙な意味を含む「せをはやみ」に拘り始めたり、恋の決着はまだまだ引っ張りますよ的な暗示が。

posted on September 10, 2016
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