6枚差で新をリードしている若宮。
新とうちに差があるとすれば 流れを呼び込む力―― そのくらいしか思いつかん 流れ… みんな簡単に言うけど 一人で練習しとるうちにはようわからん
千早は新を見守ることしか出来ない。
新… かるたは野球やサッカーとちがう 応援なんかできない そんなことわかってるのに 応援できないのがこんなに辛いなんて
苦戦している滉の背中を、新が「次は取るぞ」と叩く。更に「藤岡東、行くぞ」と声を張り上げ、滉と観戦中の藤岡東部員も応える。これには千早も瞠目。マナー違反なので村尾に注意されながらも、新は瞳を閉じて考える。
イメージや あの部屋ではもう取らん たとえばいまは 団体戦の土壇場 1勝2敗の場面 滉とおれとで勝つんや おれら二人にチームの勝利がかかってる
次の「おおことの」は攻めにくい札だったが、新が鋭く取る。滉も取った。新は擦れ違いざまに滉の髪を撫で、千早に目をやる。
千早… あの部屋のイメージにい続けたら いま以上の強さは身につかん 離れたくない ずっとここにいたい 千早と太一とかるたした部屋でまたずっと でも 好きな子にかるたで負けて これまでの自分でいいなんて思えんのや
新は考える。
強くなりたい 強くなりたい 千早にも 周防さんにも
太一が置いて行った菓子折りの「次は試合で。」を思い浮かべる。
負けたくない
memo
A級とB級の決勝戦。扉絵に添えられた「その部屋は、今日までの道のりを約束した場所」という煽り文句のアパートで、前話同様に一人きりで畳の上のかるたに目を落とす新。様子がおかしいのは、告白にノーリアクションな上に、太一に神経が行ってる自分のせいだって分からんもんかね、千早さん。そして、ヒョロの好きな食べ物は春菊w いや、私も好きだけど、ピンポイントで挙げるかwww
読まれた札は「やすらわで」「あらざらん」「なげきつつ」「あまのはら」「ほととぎす」「なつのよは」「ふくからに」「かくとだに」「あいみての」「こいすちょう」「しらつゆに」、冷たくなった相手への執着を詠う「おおことの」。