優勝を決めて喜ぶ部員達。千早が抱えるトロフィーに、ヒョロが飛び掛かって来た。
「これは…… 僕が北央の中等部にはいったときから…… ずっと部室にあったんだ ずっとずっとあったんだ!! 来年は絶対取り返す!!」
トロフィーを胸に抱き離さないヒョロを、須藤が声を掛けて連れて行く。須藤は一言。
「東京の代表が無様な試合したら許さないよ」
北央部員が須藤に「最後の大会だったのに」と泣きながら謝っている。見ればトロフィーを飾る帯の優勝校は「北央学園」ばかり。
千早の家族は相変わらず姉中心で、優勝を報告したくても、会話の糸口すら掴めない。父が作るスクラップ帳の背表紙タイトルも、姉の名前だけがずらり。新からのメール返信も来ない。
西田は大江と駒野を連れ、翠北かるた会の練習へ。千早と太一も白波会へ練習しに行く。原田先生は嬉々として指導した後、千早を相手に練習試合。千早は須藤の言葉やヒョロの姿が頭に浮かび、15枚差負け。顔色の悪い千早に、太一が問い質す。
「おまえは思ってること 我慢できるふうにはできてねえ!! 言え!」
太一が千早の頬を引っ張ると、千早がやっと話し始めた。
「…… 太一 私 全国大会怖いみたい…… ボロ負けしたらどうしよう 太一 こんなポッと出の私たちなんて だれも応援してくんないよ やっぱりおれたちが行くべきだったって 北央の人たちが思ったらどうしよう……」
帰り道で座り込んで泣く千早に、太一が脳天チョップ!
「甘えたこと言ってんじゃねえぞ」
ヒョロが太一に、全国大会に役立つ資料をわざわざ届けてくれていたのだ。
「なにも恥ずかしいことない おれたち正々堂々全力で戦った お前の中にも残ってるだろ? ずっと連れていく いちばん近い味方なんだよ」
千早は自宅に帰るが、家族は留守。テーブルに置いてあった新聞にふと目をやると、何やら切り抜いた跡がある。スクラップ帳を収めた棚を確認すると、姉の名前の背表紙ばかりの中、一冊だけ千早の分もちゃんと存在していたのだった。
memo
全国大会を決めたは良いが、千早はドS須藤に虐められ動揺。太一にほっぺを引っ張られ、変顔を晒す。このあたりのやり取りは小学生の頃の二人みたいで和む。