第16首 ここにいるのはもう違うきみ

ちはやふる ちはやふる_高1 漫画
漫画「ちはやふる」の伏線や感想などの超個人的備忘録。あらすじの記述あり。ネタばれあり注意。

決勝戦のオーダーを考える五人。千早はこれまでの相手チームを見て来て、太一のように声を出せて全体を見れるリーダーが中央、千早と西田のような早く勝ち星を上げられる選手は端にし、挟まれた選手を盛り上げるのがベストだと提言する。どの選手と対戦するかを考えるより、自チームが百パーセントで戦える形で行こうというわけだ。

千早 さっきまで 泣きそうな顔してたのに――

観戦に訪れた原田先生に、太一は反省を口にする。

「…… 先生 おれ 千早でもプレッシャー感じることあるって知らなくて…… 千早のいつもの強気さに かける言葉間違って―― あんなにボロボロになるなんて…… 千早のことさえわかってないんだって わかんないとダメですね おれ 部長だから」

「青春全部懸けたって新より強くはなれない」と言っていた太一が。リーダーらしい頼もしさを醸し出す太一を、原田は見守る。

目が離せないんだ これだから ここにいるのはもう 違うきみじゃないか

対戦相手は強豪の北央学園。須藤は千早と、ヒョロは太一と対戦したがる。ヒョロは小学校時代に負けたことがないから。

試合前の一礼で、千早が頭が須藤の顎にぶつかる。「あっすみません」と謝ったものの。

「『ごめんなさい』は? 『ごめんなさい』じゃないとイヤだ」

性格も面倒臭そうだが、「ちは」札をこれ見よがしに一枚だけド真ん中に据えるという配置に、千早は動揺。北央の顧問、持田先生も頭を抱える。持田を知る原田が訊けば、須藤は変人だが名人になる器だと言う。原田も対抗し、千早について言及。

「未来のクイーンだと思ってます」

序歌が始まり、須藤が声を張り上げる。

「北央 5戦全勝でいくぞ」

瑞沢は一人ずつ「み」「ず」「さ」「わ」、締めで千早が叫ぶ。

「ファイトォ」

初めての掛け声であった。

この「ちはや」に惑わされるな いつものかるたを攻めるだけ

千早の決意も束の間、一枚目から五人とも相手に取られた。すかさず、太一が大きな声を出す。

「ここからだ 攻めるぞ 瑞沢ぁ!!」

太一の、熱血キャラばりの腹の底からの掛け声に、毅然とした佇まい。瑞沢メンバーは気を引き締める。太一は試合前、大江と駒野の二人に言ってあった。

攻めるんだ 確実じゃなくてもいい 手を出せ 敵陣に切り込め 攻めろ

しかし、千早は出札が悪く、攻め切れない。須藤は楽しそうに送り札を差し出して来る。

攻めがるたというのは―― 敵陣の札のほうを積極的に取りに行くこと 相手に精神的ダメージを与える意味もあるが 札を送ることで自陣を有利に組み立てる目的もある 千早ちゃん 絡め取られるな――

そんな原田の心配も余所に、千早は苛々。「ちは」札に気を取られ、せっかく敵陣が読まれたのに取り逃す。

「ごめんなさいって 言わないから」

須藤の言い草にかっとなる千早だが、駒野が一枚取って興奮する声に驚いて吹っ飛ぶ。

「綾瀬 おれだって敵陣取れたぞ おまえが おまえが攻め負けてどーすんだ!!」

駒野は自身を更に鼓舞。西田も太一も無事取った。

個人戦で戦ってるとき 一枚はただの一枚だった いまは――

千早は呼吸を整える。

いまは チームの一枚を取りに行く

ちはやふる
ちはやふる

memo

予選決勝戦。太一って頭脳で引っ張るだけではなく、熱いリーダーシップも取れるタイプだったのか、と認識させられた。原田先生に言った「おれ、部長だから」あたりの表情も良い。

試合で読まれたのは「たちわかれ」「かぜをいたみ」「いまはただ」。苛々千早が敵陣から取り損ねたのは「つくばねの」。

posted on August 16, 2015
-

related entries