千早が中学二年の時、山本は初のクイーン位。かるたの内容は覚えていないが、テレビで涙を流しているのを見た記憶がある。原田先生も「強いぞ」と言っていた。
山本は西田と同じ翠北会所属。太一が西田にどんなタイプかと問う。
「ユーミンのかるたは 根気強い粘り腰ってゆーか… とくにクイーンに一回なってからは慎重で丁寧で でも本当のユーミンは――」
そこで翠北会の北野先生が西田、大江、駒野を捕まえに来た。彼と原田は仲が悪い。西田達が白波会に所属する太一と話しているのが気に入らないのだ。勿論それだけが理由ではない。
「ユーミンの応援をしろ! クイーン位を奪還する姿を見てろ!」
京都。懸賞応募のためアイスを食べ捲っている若宮に、周防が電話を掛けて来た。
「ぼくは東日本予選観に行っちゃったよ ワクワクしたよ ぼくらと戦うために みんながんばってる そういうの見ないと もうテンション上がらない きみもそうじゃないの?」
若宮はそこまでの境地には至っていないと答える。
「ぼくは きみとは 戦ってみたいと 思ってるよ」
周防は大会だと、若宮と対戦出来るまでに何試合も繰り返す必要があるのが嫌らしい。若宮は電話を一方的に切り、ふと考える。
『戦いたい相手』……?
若宮の頭に浮かんだのは、子供姿の新。
千早は相手の配置に感心。
コンパクト 正確な距離感 自陣の定位置が身体に叩き込まれてる
室内が暑い。
でも いいな 一般の人が中にはいらない 選手はみんなA級 わずかな物音にも気を遣う ”音”の大事さを知ってる人ばかりだ
読手も超一流、しかも千早の相手は前クイーン。
楽しい 楽しい
一回戦で注目選手に勝ち、美人で華があり、クイーンと同い年の千早は、周囲からの期待を集める。山本はピークを越えたと見られている。千早は快調に取り続けるが、相手の士気が下がって行くのを感じていた。
ずっとかるたをやってきた人が 腰が上がらない 手が最後まで出ない 前クイーンが 夢を叶えた人が どうして冷えていくの!?
北野は外から山本を応援している。クイーン位から落ちた後も、成績が下がり続けて行く山本に檄を飛ばしていたのを、西田は知っているが……
疲れるんだ 負けることに疲れるんじゃない 期待に応えられないことに疲れていくんだ
山本の心の中には、クイーン戦で対戦した時の強い若宮が巣くっている。
勝っても 最後に控えてるのは若宮詩暢 勝てない
どんどん冷えて行く相手に、千早の闘争心が燃え上がる。
原田先生 私 あきらめてしまった人に一枚も取られたくない
memo
二回戦、ユーミンとの戦い。読まれた札は「あさぼらけ・う」「いまはただ」「おもいわび」。詩暢の回想で、子供新の背景に流れる紅葉。季節がやっと秋に入ったせいもあるだろうが、久しぶりに見たかも。
第7巻終了。柊の花言葉は「用心深さ」「先見の明」「保護」。袖の歌は第36首より「こぬひとを」。巻末四コマ漫画は、千早の服は千歳のお下がり、部員と四字熟語、別作品「クーベルチュール」のコラボネタ。