大江は利き手を負傷していた。
「ラッキーなんです! ケガしたのがエースの千早ちゃんじゃなくて スタメンに入れる1年生もいて いい風が吹いてる 瑞沢が優勝するシナリオです!」
筑波は花野に怪我に気付いていたのかと訊かれて「もちろん」と答えたが、体力を心配していただけだった。
大江先輩とおれの嘘は 全然ちがう
富士崎は決勝戦で初めて抜擢された山城理音のことで不協和音。太一は新と似た男を見つける。
なんか…… 新に似てるな 身体つきとかメガネ顔とか―― あれ……? おれ いままで 新のこと忘れてた…? あんなにチョコチョコ浮かんでたのに 集中してたから? 団体戦に……
駒野は得た情報から、外れるメンバーと下級生が入ることも読んでいた。
僕ができるのはここまでだ たぶん僕は試合では勝てない そんなに甘くない だけど だけど
決勝戦。読手は山城今日子七段。富士崎の山城理音は、彼女の孫だった。オーダーは理音と当たるのが千早。ここまで出場していなかったので、駒野のデータは無い。
でも 綾瀬は 女子で日本一になるんだろ?
太一の対戦相手は、新似の男、江室凌雅。主将対決となった。駒野には意外なことに、太一が自ら「おれは主将とやる」と言ったのだった。
逃げない 団体戦のおれは 新だって怖くない
千早が仲間に話す。
「私って じつは欲張りなんだ クイーンになるより 女子で日本一になるより みんなで日本一になるほうが絶対難しい」
運営の先生に新が来ていると聞いたヒョロが、新が滞在している部屋に現れた。
「綿谷くん…… い 行かないの? 応援に 真島と千早が 日本一をかけて戦うよ」
memo
決勝戦のメンバー顔合わせ。一方、詩暢ちゃんは新など男子勢に構わず生着替え。スノー丸キャミ。