修学旅行で観光中、何度も電話を掛ける千早。自宅にいた太一が、ついに応答。太一が39度の熱があると言うので、お大事にと電話を切る。ところが、翌日の東日本予選の出場者名簿に、太一の名前があることが判明。
ぬ け が け 太一~~~
白波会の練習場に、修学旅行に行った筈の太一が現れた。
「朝 体調悪かったから休んだ いまは治ったんで 練習しにきました」
原田の目の色が変わり、時間の限り二人で取ることに。
宿舎に入り、千早は皆に事態を報告。
「なんで? 私 太一が名人になりたいなんて 聞いたことないよ わかんないよ」
駒野は太一の気持ちが分かると言う。
「あいつの志望は医学部だし 来年のいまごろは部活どころじゃなくなるし 医学部にはいったらかるたどころじゃなくなる 冷静に考えたら いましか かるたを思いっきりやれるのは いましか……」
千早は旅行を楽しむどころではない。京都にいて、若宮を連想する。そして、携帯電話の画面に新の番号を出すが……
新は村尾と練習するも、吉野会大会以降は集中出来ていないと指摘される。
なんであんなこと言った? 「千早はべつに だれのでもないよな」 千早も太一も友達や なんであんなこと思った? 「なんで千早と戦ってんのが おれやない?」
小学校卒業式の日のボロアパートで、最後に泣いてしまった自分を思い出す。
じいちゃんが死んだときも かるたが取れんときも あの時間は宝物やったのに なんやろう このじりじりする気持ちは
新が自宅に帰ると、由宇が待っていた。新の両親が不在で、明日は大一番なのにカツ丼もカツカレーも作らないのかと、食事を持って来たのだ。新が暗い顔をしているので、勝ったらご褒美にかるた部に入ってあげるとも言う。
「…… な…… なんやしそのちっぽけなごほうび そんなんいらんわ 由宇がいちばんよく知ってるやろ? 名人になんのはじいちゃんとの約束で なんもごほうびなくても おれの夢や」
そこまで言って、新も気付く。由宇も安心して帰宅。一番知っている、と嬉しい言葉も貰った。
予選日当日。若宮の自宅に、周防が現れる。
「詩暢ちゃん 今年は テンション上げに行きませんか 一緒に」
memo
千早、修学旅行へ。千早から新への電話は繋がらなかったのではなく、結局掛けなかった? 会話の描写もないし、着信履歴を残していたら新が反応しているだろうし。
新は自分の黒さを自覚していた模様。新の「宝物」は、千早の「かるたがあるからまた会えるんじゃないの?」を元に三人で約束した、というのがそれに当たるのかな。千早の方は第7巻第40首の梨理華戦後に、かつて新に言われた「かるたの才能あると思うわ」を宝物にして来たと独白している。
太一の進学先について太一母が「医学部ならばK大かT大に行って欲しい」と発言。