準決勝で負けた瑞沢は、もう上には行けない。千早は自分自身に怒りを隠さない。
”北央学園みたいな かるた強豪校になるの” ”全国大会 連覇!”
北央対藤岡東は、北央勝利。新もまた、俯き悔しさを押し殺している。いつものように「ゴッ」と怒りに燃える様子がない。
筑波は格上相手に勝利したことを、花野に褒められたが。
次の部長はおれで 絶対勝ちたかったから…… 絶対勝ちたかったのなんか おれだけじゃない おれだけじゃない
皆が静まり返っている中、宮内先生がパンッと手を叩いた。
「終わってないですよ あなたたち 優勝しか眼中にないほどいい気になりましたか 3位決定戦がありますよ あなたたちが大好きなかるたがもう一回できるんです」
最終戦なので三年生は全員が出るようにと宮内が決めたが、あと一枠で田丸が名乗りを上げる。
「で 出たいです 出たいです 出たいです 出… 結果がないまま帰ったら 私また ただの褒められたがりになる…っ」
宮内が千早に、正しい「ちはや」の鉢巻を差し出す。千早が自分の鉢巻を確認すると「たいち」の文字。大江や花野と同様、千早も納得。
「ああ なんか 出札悪いと思ったぁー」
しかし、千早は再び「たいち」の鉢巻を締め、試合に向かう。
決勝戦は北央対富士崎。ヒョロットカードを取り出すヒョロを、太田が体当たりで止める。
「ヒョロットカードがなくても 全国でいちばん強いのは北央学園」
かつてヒョロが言った言葉だ。
「それを みんなで見るっちゅーのは どうですかね?」
西田姉が須藤に頼み、占うのを止めさせて貰ったのだった。
ルール違反をしてるわけじゃない チームのために徳を貯めてやってる占いだけど ヒョロくんは辛いと思うんです 高校三年間で一度でいいから 純粋な 運命による対戦をさせてあげたい
カードは使わなかったが、結局理想通りの対決となった。
瑞沢の最終戦は、藤岡東戦。互いにどうするのかが読めていた。千早は新との対戦。
memo
準決勝終了。机くん達も随分強くなったなあと思うけれど、それより強かった太一が抜けた穴はやはり大きかった。「いちばん強いのは北央学園」は第10巻第58首より。最後のコマで見えている札は「せをはやみ」。札の周りに渦が巻いているような描写。