新は北央主将のヒョロを相手に、21枚差で勝利。運営側の先生も唸る。
本物だ
宮内先生は鉢巻を手に応援。皆の手に行き渡っている筈なのに、予備だろうか。花野に訊かれ慌てた隙に、鉢巻に「ちはや」という文字が覗かせた。では、千早が着けている鉢巻は……
西田は理音相手に苦戦。田丸の影響でコンパクトなかるたが身についたのは良かった。消費カロリーと疲労が違う。しかし、腹が減る。脳もハラペコに。
手放しそうになるんだ ついていくだけで いっぱいいっぱい 取れる札だけ取って 相手がミスしてくれたらラッキー 流れが来たら めっけもん 流れが来なかったら それはそれで
西田は駒野と太一との三人で、東京都予選後にカラオケに行った。
だから 真島の気持ちだって わかるんだ
四年に一度の幸せを歌う「うるう年のマーチ」という、何とも幸せがレアな微妙な選曲に、太一が笑った。太一からは、千早に振られたと報告があった。好きとかだったの、あいつ中身小6男子だから無理、語彙の殆どがかるた、見る目がない、趣味がおかしい、などなど弄り倒して、苦笑いして、本笑いにして。
やれるだけやって 離れたいって思った真島を バーカって笑いとばして
かるた部に戻って来るよう、皆が待ってるから一緒に全国大会に行こう、と言った。太一も辛いだろうが、千早もダメージを受けていると。
”うん そうだよな… たぶんおれ 千早がおれのことで傷ついてたらいいって どっかで思ったんだ 最低で 戻れない”
ただ、太一は東大かるた会に通わせて貰い、かるたを続けていることは分かった。
流れを引き寄せるべく、大胆な取りに切り替えた。
腹が減ってんのは あいつらだ どうやったら 助けられる? どうやったら 助けられる?
西田は、ふと千早に目をやる。そこで、千早が締めている鉢巻の刺繍が「たいち」となっていることに気付いた。そのタイミングで、千早が「瑞沢一勝!」の声を上げる。
綾瀬は自分でなんとかできる 真島もきっといらないんだ 助けなんて
日向が千早に負け、富士崎のチームコントロールが理音から日向に戻った。西田の目の前の理音の目の色が変わる。
だれのことも 助けられたりなんか しないんだ でも おれらは 真島が好きだ 綾瀬が好きだ みんなで過ごした時間が 好きだ 好きだ 大好きだ
必死に戦うも、瑞沢と富士崎の勝負は、富士崎の勝利で決してしまった。
memo
引き続き、全国大会準決勝。肉まんくんの回想にて、太一が肉机コンビに振られたことを報告していたのが判明。二人とも、もっと突っ込んで聞いとけよ! 尚、「うるう年のマーチ」の作詞作曲は軽田伊能知で、瑞沢校歌と同じ。
肉まんくんの独白はどう解釈したら良いのか分からない。鉢巻の文字を見て、振った相手の名前のを何で、ってな顔にも見えるし。あんぽんたんだからそっち系じゃなく、満足なかるたライフに飢えているという意味なのかな。千早も太一もいろんな人に心配はされど、助けてくれる人ってお互いの他には案外いないような気がするから、肉まんくんの出番を期待したい。
読まれた札は「かぜそよぐ」「あらざらん」「つくばねの」「あいみての」「たまのおよ」「ひさかたの」。