四組が運命戦。北央はきっちり「札分け」し、確実に二勝稼げるように企てて来た。
この形になったら 敵陣を抜かなきゃ勝てない―― 準備不足だ こんな状況になることを想定してなかった 団体戦の経験不足だ 経験を蓄積した伝統校 北央との差がここで出るなんて
不利なことに気付いていた太一と駒野、敗退済みの西田に遅れ、千早もやっと把握。千早は西田が悔やむ様子を見て、素振りを繰り返して準備。太一も頭の中で残り札を整理し、敵陣を抜こうと気持ちを奪い立たせる。
瑞沢の3勝を 優勝を あきらめてたまるか
空札が続くうち、ヒョロが太一の気迫に負けてお手付き。これで「瑞沢一勝!」
運命戦は 運命じゃない 運命じゃない
甘糟も敵陣を抜けるようにと素振りを始める。気負う様子に須藤は危機感を持つ。千早が敵陣に手を伸ばし、札に触れた。甘糟も押さえている。大江が押さえ、駒野は敵陣を取れなかった。
「ぼくだ! ぼくが速かった ぼくのほうが早く触れて」
叫ぶ甘糟。千早は静かに申し出る。
「いまのは…… 同時です」
同時ならば自陣の取り。甘糟の勝利となり、二勝三敗で北央勝利が決まった。
甘糟は最後の一枚の音を聞けておらず、千早の勢いにつられて手が出ただけだった。こんな試合では北央が一番とは言えない。須藤がとどめを刺す。
「ダッセ 東京で一番になれないんなら せめて全国で一番になれよ」
西田が涙ながらに謝っているところ、試合後即寝していた千早ががばっと起き上がる。
「…… …… た…… 楽しかったねぇ いままでで一番 楽しかったねぇ」
千早は笑顔だが、皆は消沈したまま。
帰りがてら、花野は原田の元へ行く。先客に筑波と三人の弟達。白波会に一気に五人も入会者が来た。千早と太一は電車に乗る。千早宛てに新からメールが届いた。
高校選手権予選 楽しかった?
読んで泣き始める千早。見詰める太一。
新 いままでで一番楽しかった 一番悔しかった
memo
東京都予選決勝で、四組もが運命戦。「めぐりあいて」「ゆうされば」の空札が続いての「あきかぜに」でお手付きを呼んで、太一の気迫の瑞沢一勝! しかし、最後は「あさぼらけ・あ」で瑞沢敗戦。