部室で練習。千早は読手をしながら、太一を見る。
太一…… …… ただ かるた取ってるだけに見える 太一…… どうして一人で 高松宮杯に出たの? 新との試合 どうだったの? 近くにいるのに なんでこんなになんにも聞けなくなっちゃったんだろう…
重い空気に、大江が女子でバレンタインチョコを作ることを提案。
バレンタイン前日、女子三人で綾瀬邸に集合。ところで、太一はどんなチョコが好きなのだろう。
「あー 太一ねー 子供のころから毎年チョコいっぱいもらってたから たぶん 塩辛とかもらったほうが嬉しいと思う」
千早の参考にならない情報に、今から塩辛を入れようか、と冗談を言う大江だが、花野も断固拒否。
「当然ですよ あの優しい部長でも吐きますよ」
そんな馬鹿げたことを言いながら、部室で食べるためにラッピング開始。
あの 優しい 部長でも
太一の話題から、太一を想う千早。
あの 優しくて 強くて がんばり屋の
涙を浮かべ、ついには泣き出してしまった。
「うっ… たっ… 楽しいねえ~~ みんなで何かするって楽しいねえ~~~ なのになんで… なんで 太一はあんな きつそうなの つらそうなの わ わら わらっ 笑って… 笑ってほしいよ――…」
綾瀬邸を後にする大江と花野。花野は本命チョコを買ってあった。大江が励ましてくれる。
「花野さんの気持ちは… どんな物をあげても バレンタインじゃなくても もういつでも伝わると思いますよ かるたなんて遠いものを1年がんばってこられた花野さんの気持ちは もう形になってますよ」
バレンタイン当日。太一の元に、女子達が途切れることなくチョコを持って来る。花野はチャンスを伺い、窓の外に太一を発見。太一を呼び止め、紙袋を窓から下に投げ渡す。中には緩衝材に包まれた塩辛。
「好きです 先輩 大好きです 先輩も 好きな人に 好きって 言ってください 言って下さい」
黙って見上げている太一に花野は笑い掛け、太一の視界から姿を隠す。
先輩 大好き先輩 大好き きっと 綾瀬先輩もきっと……
放課後の部室は、バレンタイン用に可愛らしい飾り付け。大江が花野の活躍ぶりを紹介するも、男子部員が横やりを入れ、そのの会話に特に表情もなく見ているだけだった太一がぷっと少しだけ笑った。
笑って 笑って太一 笑ってみんな
千早も、大江も花野も安堵。しかし、用意した菓子箱の中身は千早父が食べ尽して空だった……
memo
かるた描写は冒頭にあるのみで「ひさかたの」「よもすがら」の寂し気な歌揃え。今回はバレンタイン祭り。恐らく三階あたりから投げられた塩辛1キロ瓶。太一の手が破壊されたらどーすんのさ。
太一に「笑ってほしいよ」という千早の気持ちが切ない。第3巻第13首で太一が「千早 おまえが笑ってりゃ かるたは楽しい」と言っているのと対になっているね。また、第25巻のラストが「1年 364日後 笑っているのはだれだ」だが、太一が新と対戦することになった場合、千早は同じ気持ちでいられるのか。
さて、前回は千早の高校二年次戦歴を纏めたが、今回は太一。一人で遠征してもいるので、千早よりも参加大会数が多い。
広島大会B級
- ●詳細不明だが敗退
京都大会B級
- ●詳細不明だが敗退
全国大会予選
- 秀龍館
- 冨原西
- 東宮
- 準決勝 朋鳴 佐々鈴香 4枚差
- 決勝 北央 木梨浩 相手お手つきで勝利
全国大会団体戦
- 千葉情報国際 パク・キョンソ
- 山口美丘 結城宗佑
- 準々決勝 京都・翔耀
- 準決勝 兵庫・明石第一女子 七瀬
- 決勝 静岡・富士崎 江室凌雅 運命戦
全国大会個人戦B級
- (試合数不明)
- 北央 木梨浩 18枚差
- 準決勝
- 決勝 静岡・富士崎 山城理音 9枚差で優勝
吉野会大会A級
- 一回戦 静岡・富士崎 日向良彦 5枚差
- 二回戦 大川 7枚差
- 三回戦 市川優奈
- 四回戦 北央 城山浩希 4枚差
- 準々決勝 須藤暁人 1枚差運命戦
- 準決勝 村尾慎一
- 決勝 綾瀬千早 ●敗戦、準優勝
名人位・クイーン位挑戦者決定東日本予選大会
- 一回戦 嵐会 豪徳寺実篤 11枚差
- 二回戦 春川会 大田 6枚差
- 三回戦 K大会 小石川秀作 ●運命戦で敗退
高松宮杯
- 一回戦 あきのた 井中 10枚差
- 二回戦 いずも 大沢 7枚差
- 三回戦 秋田 山本 4枚差
- 四回戦 南雲会 綿谷新 ●4枚差、ベスト8で4位入賞