名人戦は四戦目。原田先生が三戦目であっさり負けたのは、体力を考えてのことだった。自陣の定位置を変えて、勝負をかける。敵陣を攻め、送り札でノイズを、自陣も動かし。暗記が重要だ、と原田はいつも言っていた。
暗記がはいっていなければ勝負にならない 暗記をバッチリ入れて攻めに徹せよ!! 完璧な暗記によって場にある札が 浮き上がってこなければならないっ!!
敵陣から取ることについても言っていた。
敵陣右下段の札は すべて抜け 敵陣右下段の「むすめふさほせ」を抜けないようでは 右下段を狙っているとはいえない
太一も目を見張る。
言葉だけじゃない 原田先生が 見せようとしてくれてる 本物の
桜沢先生は、若宮の送り札のセオリーや所作が、絵札に結びついていることに気付く。
私がもし札なら あんなふうにきれいに 縁を払ってほしい 音もしないような 鋭い優しさで
桜沢は大盤に札を貼る仕事も忘れ、見入ってしまった。
若宮さん あなた どれだけ札と戯れてきたの どれだけ孤独だったの……
名人戦は17-23で、原田がリード。千早が原田に話した周防の弱点とは……
たぶん 目です 視力が悪いのかなと最初思ったけど そうじゃない うまく言えないけど 視界のはじの札が よく見えてないような――…
原田はそれを元に、神経眼科など医学書を読んだ。
ずっと考えてたんだ 君とどう戦おう 君とどう戦おう でも君は最強の名人だ この席に座るなら 君のすべての特徴を利用する 君の配列は研究済みだ 送り札は左右のはじに置かれそうな札にする 札移動を細かく 的を絞らせない 私の答えはひとつだ イヤなかるたを取ること 攻めること
観客席で心配そうに見ている妻がいる。
君とちがって 喜ばせたい人間がおるんだ 獲るぞ 名人位
そして、若宮祖母と同じく、テレビでかるた番組が始めるのを待っている女性がもう一人……
memo
四戦目。千早が気付いた周防の弱点のことが語られている。読まれたのは「かくとだに」「あけぬれば」「いまはただ」「こぬひとを」「むらさめの」「かささぎの」。
第24巻終了。表紙は黄色いチューリップと見ていいのか自信ない。だとすれば、花言葉は「望みのない恋」「名声」。話の内容にも沿っていそうな気もするが。袖の歌は第124首より、名人戦陣決めに使う「秋の田の」。巻末四コマ漫画は数巻に渡って続いていた体育祭リレーが、ついにゴール。机くんの打算w