かるた会館から程近い公園。周防に「君はここでどらやき食べててもいいA級の人?」と訊かれ。
「いいんです クイーン戦は来年出ます」
千早は周防を質問攻めにする。和菓子を配るのは何故か、声が小さいのは何故か。しかし、稀代の”感じ”の良さは、とは聞けず。
「…… 周防さん 今度私と 試合してもらえませんか」
アクシデントで落ちた周防のサングラスをかけながら言う千早を、周防がじっと見る。気付けば三試合目が始まっている頃合い。千早は周防の手を掴み、会場へ急ぐ。
試合は息を呑む展開。新の配置に変化が見られ、一試合目のように新が原田先生の札を拾いに行くこともしない。太一の元に札が飛んで来たので拾い、新が「ありがとさん」と受け取った。言葉遣いに太一も面食うが、新も「あれっ、今の太一やった?」という状態。
じいちゃん じいちゃんが 一回戦のおれを見たらなんて言う?
きっとこうだ、と新は想像。「がんばってるけど、まだまだやなぁ、若い若い」。原田にもきっと「君もまだ若い若い」と。
原田が綿谷名人と唯一当たった試合は、19歳での選抜大会。栗山先生も綿谷名人のことを考えている。
札のやり取りから表情まで 綿谷先生を見てるようや 「イメージするんや」 綿谷先生が新くんに常々言ってたことが ここでこんな形で…… 新くんが唯一持たんかった大舞台での経験 それを綿谷先生のイメージが補ってる
原田自身も若返った気持ちで取っているのに、ズキンと痛む膝。見上げると、窓越しに観戦している周防と目が合った。
周防は千早に語る。
「原田先生はいいね テンション上がる ぼくは 名人戦で戦うなら 原田先生がいい」
memo
千早と周防の初交流。周防は千早を気に入り「嫁」認定w そして周防の目が向いてしまうのは、やはり新ではなく原田先生らしい。読まれた札は「みかのはら」「もろともに」「おとにきく」「みかきもり」「わがそでは」「はるすぎて」。